ハナビ、

ハナが東京砂漠で綴るよたばなしです、英語歌詞翻訳はじめました copyright ©︎ ハナ 2009-2022 all rights reserved.

Englishman In New York

最近なんだか早朝起きるようになっちゃって、ついでになんとなく散歩をはじめました。寝落ちもめちゃくちゃ早くなって…なんなんすかね。抗体のせいですかね(違うと思う)。

早朝だとあまり人ともすれ違わないし、必要最低限の買い物を近所の24hスーパーで出来たりもするので、不安も軽減されます。在宅勤務で人に会わない毎日が続き、デルタ株まじ怖いってなってよりひきこもっちゃった結果、なんか心に軽いやばさを感じはじめていたので、早朝散歩はいい気分転換になってくれそうです。

とはいえ今朝は大雨だったし、前日それなりに体調崩したので見送り。

オリンピックが去ったら大雨とか踏んだり蹴ったりですね。正直、政府自治体の医療への負担ガン無視のうわべ取り繕い状況がたまらんです。病院満床、救急車のっても家に返される(ここんとこ毎日のように救急車のサイレン聞きますうちの近所…)、堂々と自宅療養しろとか言われるってなんなの。その上ワクチン打っても感染するし、じきに抗体消えちゃうからもう1回打たなきゃいけないとかいうし。一体これ終わりが来るものかいね。

身の危険レベルでいったら比にならないとはいえ、この閉塞感って戦時中にも味わったものと似たようなものかもしれないなと。表面上を取り繕って威勢よく都合のいい情報だけメディアが回すって、本当に同じ構造ですよね。

だから今年はネットで広島長崎の平和式典、終戦記念日の追悼式ぜんぶ見て黙祷しました。こんな世の中にしちゃってごめんなさいという気持ちで。

良識に従って行動すること、社会全体を良くしていくために尽力すること、そういう大人としての責任を軽視して、目先の利益や正解を得ることだけに心血を注いでいて、さらにそれを別に悪いとは思わない世の中になっているような気がしてならないです。

バズればいい、そのために1秒で目に止まるキャッチーさがほしい、表面を取り繕えばそれでオーライ、タブーというが考え方は違っていい、はい論破*1、みたいな*2

しかもそんな状況にひとりのいい歳した大人として何も対抗できていないのが非常にもどかしい。選挙に行って一票は入れているけど、政治屋マーケティングに太刀打ちできていない。正しいメッセージを発する政治家は、むしろ正しさゆえにあっさり負ける。政治って雰囲気だし、数だから。何度も記者会見して、やってる感をかもして、有能そうなポーズを装える、パフォーマンス力が高い政治家には、一般市民が一瞬で理解できない地道なデータや政策を持ち出しても、絶対に勝てない。

我々はというか、少なくとも私は、いま非常に嫌な世の中のうねり(ウイルスとかではなく世相的なもの)に巻き込まれていて、苦しくてもどうにもできないでいる、と感じています。いやほんと一市民として私はどうしたらいいんでしょうね。

数年後にブログ読み返したら、あああの時はあんなんだったな、で済むのかな。それまでサバイバルしないといけないですね、ひとまず。

とはいえ、私自身が生きる要領がいいわけではない、というかむしろ不器用なほうだから、苦しい人たちを生み出す社会構造のいびつさや、そういう人たちをあっさり差別したり無視したりする為政の冷酷さ、みたいなものに特に敏感になりがちなのかもしれません、明日は我が身っていつも思ってます。

 

と、社会構造的なものに話が及んだところでいきましょうか、本日の歌詞翻訳お題。

前回の宿題だったStingのEnglishman In New Yorkです。

Stingはアーティストとしてすごいクレバーで、音もいつ聴いても時代に左右されず普遍的でかつ緊迫感があって、憧れますね。例えるならばなんかこう、勉強できるのに陸上部でマラソン速いしケンカも強い、みたいな。割といい筋肉してるからですかね。

歌詞も秀逸のオンパレードです。Police時代のEvery Breath You TakeやMessage In A Bottleはもちろん有名ですけど、Fields Of GoldとかDesert RoseとかFragileとか。なによりあれですよ、レオンのShape Of My Heartですよ。トランプの4つのマークをサビにきれいに織り込んで最後はHeartでしめる、ってまじかっけー!ですよ*3

 

で、Englishman In New YorkはStingがクウェンティン・クリスプというアーティストから影響を受けて作った曲だとか。Stingは彼を"singularity"という言葉で表現していますね。唯一無二の、国士無双、みたいなもんかな。

CRISPERANTO.ORG: All Things Quentin Crisp! The Quentin Crisp Archives: Mr. Sting on Quentin Crisp and the song "Englishman in New York"

クウェンティン・クリスプに関する日本語紹介は、この方のブログに詳しいです。

音源はこのあたりで試聴できまして、 

Englishman In New York

Englishman In New York

  • スティング
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

しかしながらデヴィッド・フィンチャー監督のPV!をこれはYouTubeで絶対みてほしいんですけど埋め込みできないですね。クウェンティン・クリスプも登場しています。

Sting - Englishman In New York - YouTube

さていよいよ和訳とまいります。

 Englishman In New York

紐育のイギリス人*4

 

I don't drink coffee, I take tea, my dear

コーヒーは飲まないのです、紅茶をいただけますか

I like my toast done on one side

トーストは片面だけ焼くのが好きですね*5

And you can hear it in my accent when I talk

話すときのアクセントからおわかりでしょうけど*6

I'm an Englishman in New York

僕はニューヨークに滞在している英国人なのです

 

See me walking down Fifth Avenue

五番街を歩いていく僕の姿をごらんなさい

A walking cane here at my side

ステッキを傍らに携えています

I take it everywhere I walk

歩くときはどこへでも持っていくんですよ

I'm an Englishman in New York

なぜってニューヨークにいても英国紳士ですから

 

Oh, I'm an alien, I'm a legal alien

ああ僕は外人、合法的な外人

I'm an Englishman in New York

ニューヨークの英国紳士

Oh, I'm an alien, I'm a legal alien

ああ僕は異人、合法的に滞在する異人

I'm an Englishman in New York

ニューヨークにいるイギリス人

 

If "manners maketh man" as someone said

誰かが言った「礼儀こそが人を紳士たらしむ」ならば

He's the hero of the day

その方は今日の英雄だ

It takes a man to suffer ignorance and smile

その言葉で紳士は無視に苦しみかつ笑顔にもなる

Be yourself no matter what they say

誰がなんといおうとも自分らしくあるべきなのだから

 

Oh, I'm an alien, I'm a legal alien

ああ僕は外人、合法的な外人

I'm an Englishman in New York

ニューヨークの英国紳士

Oh, I'm an alien, I'm a legal alien

ああ僕は異人、合法的に滞在する異人

I'm an Englishman in New York

ニューヨークにいるイギリス人

 

Modesty, propriety can lead to notoriety

謙虚さ、礼儀正しいことが時として悪評判にもなる

You could end up as the only one

しまいには孤立してしまうことさえあろう

Gentleness, sobriety are rare in this society

親切心や素面でいることはこの界隈では稀なのだ

At night a candle's brighter than the sun

夜は太陽よりキャンドルが明るいのだから*7

 

Takes more than combat gear to make a man

人を紳士たらしめるには武装よりもっと何かが必要だ

Takes more than a license for a gun

戦闘服や銃のライセンスよりもっと

Confront your enemies, avoid them when you can

お前の敵に立ち向かえ、できるならば避けろ

A gentleman will walk but never run

紳士は歩きはすれど決して走ったりはしないのだから

 

If "manners maketh man" as someone said

誰かが言った「礼儀こそが人を紳士たらしむ」ならば

He's the hero of the day

その方は今日の私の英雄だ

It takes a man to suffer ignorance and smile

その言葉で紳士は無視に苦しみかつ笑顔にもなる

Be yourself no matter what they say

誰がなんといおうとも自分らしくあれ

Be yourself no matter what they say

誰がなんといおうとも自分らしくあれ

Be yourself no matter what they say

誰がなんといおうとも自分らしくあれ

Be yourself no matter what they say (oh, I'm an alien, I'm a legal alien)

誰がなんといおうとも自分らしくあれ (ああ僕は外人、合法的な外人)

Be yourself no matter what they say (I'm an Englishman in New York)

誰がなんといおうとも自分らしくあれ (僕はニューヨークの英国紳士)

Be yourself no matter what they say (oh, I'm an alien, I'm a legal alien)

誰がなんといおうとも自分らしくあれ (ああ僕は異人、合法的に滞在する異人)

Be yourself no matter what they say (I'm an Englishman in New York)

誰がなんといおうとも自分らしくあれ (僕はニューヨークのイギリス人)

Be yourself no matter what they say (oh, I'm an alien, I'm a legal alien)

誰がなんといおうとも自分らしくあれ (僕はニューヨークのイギリス人) 

 

ところで。恥ずかしながら私がこの曲をちゃんと知ったのはそう遠くない昔でして。

フランスから帰ってきて某社会人になってもゆるーく滞在しているともなくしている洋楽聴きましょうサークルというのがあるのですが、学生ちゃんのみんなの前で、いきなりやってきた社会人のフランス帰りの変な大人が、フランス思い出の曲をかけまーす、って当時現地で聴いて気に入った曲をあれこれかけた中に、この曲の替え歌があったのでした。

聴きにきてくれた学生ちゃんのひとり(もう立派な社会人ですが相変わらず仲良くしてくれる素敵なお嬢さんです)が、これってStingの曲ですか?と聞いてくれて、ほんとだ!Stingの曲と同じメロディだ!と初めてわかったのでした。どこかしらで耳にしたことはあってもちゃんと聴いたことがなかったんです。しかもレゲエになってたし。

 

Tiken Jah FakolyというレゲエアーティストのAfricain à Parisという曲です。

Africain à Paris

Africain à Paris

  • ティケン・ジャー・ファコリー
  • レゲエ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

Tiken Jah Fakoly - Africain à Paris - YouTube

 

ちょっと頑張ってフラ語訳もしちゃうんだぜ、でも翻訳サイトと辞書と首っ引きでだけどな。 

Africain à Paris

巴里のアフリカ人

 

Maman, je pense à toi, je t'écris

母さん、いつも母さんのこと思ってる

D'un trois étoiles à Cachan

パリ郊外のカシャンにある三つ星ホテルから手紙を書くよ

Tu vois faut pas que tu trembles ici

ここでびびったりしちゃいけないんだよ

J'ai un toit et un peu d'argent

僕には住むところだってあるし、少しはお金だってあるんだ

On vit là, tous ensemble, on survit

僕らはここに住んで、みんなで一緒に生き延びてきた

On ne manque presque de rien

僕らに欠けているものなんてほとんど何もないんだよ

C'est pas l'enfer, ni l'paradis

地獄でもなければ天国でもない

D'être un africain à Paris

パリでアフリカ人として生きることは

 

Oh, oh, un peu en exil

ああ、ちょっとした亡命のよう

Étranger dans votre ville

君らの街の異国人

Je suis Africain à Paris

僕は巴里のアフリカ人

Oh, oh, un peu en exil

ああ、ちょっとした亡命のよう

Étranger dans votre ville

君らの街の異国人

Je suis Africain à Paris

僕は巴里のアフリカ人

 

Sais-tu qu'ils nous ont promis des places

彼らが僕らに席を確保したのは知ってるだろ

Mais c'est par la voie des airs

でもそれは航空便だったんだ

Elles ne sont pas en première classe

ファーストクラスじゃなくて

C'est un oiseau nommé Charter

チャーター便という名前の鳥だった

En attendant que l'oiseau s'envole

その鳥が飛び立つのを待ちながら

Des mémoires aux doigts de fée

素晴らしく器用に

Font tourner autour des casseroles

シチュー鍋をかきまわす指を思い出していた

Un soleil au goût de mafé

マフェの味がする太陽

 

Oh, oh, un peu en exil

ああ、ちょっとした亡命のよう

Étranger dans votre ville

君らの街の異国人

Je suis Africain à Paris

僕は巴里のアフリカ人

Oh, oh, un peu en exil

ああ、ちょっとした亡命のよう

Étranger dans votre ville

君らの街の異国人

Je suis Africain à Paris

僕は巴里のアフリカ人

 

Et du dimanche au dimanche, aussi

日曜から日曜までずっと*8

Je ne fais que travailler

僕は働きづめだ

Tu vois j'en ai de la chance, ici

僕はチャンスをここで掴んだんだよ

J'aurais bientôt mes papiers

もうすぐ書類を手に入れる

Maman, j'sais que tu as l'habitude

母さんはいつものように

De trop vite t'affoler

早合点して慌てふためくだろうね

Surtout n'est pas d'inquiétudes

でも絶対心配しちゃだめだ

Si un hôtel a brûlé

たとえホテルが焼けたってね

 

Oh, oh, un peu en exil

ああ、ちょっとした亡命のよう

Étranger dans votre ville

君らの街の異国人

Je suis Africain à Paris

僕は巴里のアフリカ人

(Refrain)

 

全然内容違いますね!!!

いや、訳してみてよかった。こんな歌だったのかって初めてわかりました。

当時はラジオで聴いてわかる部分の歌詞(ってもJe suis Africain à Parisくらいしかわかんないわけですよ)を即メモってぐぐったけど見つからなくて、なんとなくFNAC*9をさまよって新作のワールドミュージックが並んでいたところをあさってみたら、L'Africainというタイトルを見てピンときてアルバムを手に取って裏面をみたら"Africain à Paris"という曲が収録されてるのを見てこれに違いねー!!!と確信を持ってゲット&ビンゴしたアルバムでした。こういうときの自分の引きのすごさというか、好きな音楽のつきとめ力にはたまに感動しますね。

 

Tiken Jah Fakolyはコートジボワール出身のレゲエアーティストで、抑圧された人々の現状を歌って世界レベルで人気を博したものの、政情不安と外国人排斥が高まる中、政治的なメッセージ性の強い歌詞が原因で殺害予告を受けたため、マリに亡命しているらしい、とこれはWiki情報です。

かつて植民地だった地域が多々あるためか、パリのアフリカ人はそれなりに多いようです。

フランス滞在当時に働いてた職場にもアフリカン系の人が何人もいました。が、彼らはアフリカ人とは限らないのですよ!私は自分がガイジンなもんだから他の人もみんなガイジンだろうと思ってて、最初の研修のとき、出身はどこ?とアフリカン系のおとなしくてやさしい力持ちな同期男性になんとなく聞いたら当たり前のようにフランス、と言われてああ、私の中の偏見よ…と気づいたのでした。同じ国籍のものは基本的に見た目からして同じ民族系に属する、というのは日本でそれが多数派だからこその認識なのですよね。アフリカン系だけど日本語ぺらっぺらのフランス人男子とか、逆に見た目完全にチャイニーズなのにフラ語しか話せないフランス人男子もいたっけ*10。なつかしいですね。みんな元気にしてるといいな。

滞在許可証をもらってパリで暮らせることになったアフリカ人が母にあてた歌なのでしょうか。Tiken Jah Fakoly自身の境遇を歌ったものかそうでないかはわからないですが、歌詞のはしばしから、かすかな誇りと望郷と、二つの文化をまたいで生きるしたたかさみたいなものを感じました。

うん、なんかもうちょっと毎日がんばろ。つたないフラ語で生きてた逞しい時代の自分呼びおこそ。って気になりました。コロナ明けたらフランスまた遊びに行くぞ!友人いるし!

*1:どなたかTwitterでつぶやいてましたけど、議論って論破するためのものじゃなくて、理解を深めるためにするものなのにね...論破を狙っている時点で圧倒的な幼稚さを感じてしまう

*2:最近とみに感じることですが、多くの広告がなんとなく薄ら寒い感じで気持ち悪いんですよ。変な早口で冷笑なのかツッコミなのか私見みたいなものをまくしたてて、あとはキャッチフレーズで歌って踊っておけばOKみたいな。もう最近は教養のないイキリ野郎しか広告作ってないんか。企業側はそれでいいのか。お客様に顔向けできるのか

*3:I know the spades are the swords of a soldier, I know the clubs are weapons of war, I know that diamonds mean money for this art, but that's not the shape of my heart、ってくだりですね、いやーかっけー!この前にジャックとかキングとかクイーンとかも入ってるんですよ。わーかっけー!あやっぱいつかこれちゃんと訳そ。やりすごすにはあまりにもかっこいい歌詞です

*4:直球とみせかけて思いっきりミュージカル映画「巴里のアメリカ人」をもじっております。映画みたことないけど、ガーシュウィンの曲は心躍りますね。名曲 I Got Rhythm もこの映画に使われた曲のひとつです。

*5:そうなの?アメリカ人両面なの??

*6:アメリカ語でぼんやりした感じの英語教育しか受けてこなかった人はイギリス語で完全に詰むんじゃないかしら=私。イギリス人同僚がまじで何言ってんのか全然わかんなくて転職当時は毎日冷や汗かいてました

*7:このあたりクソ嫌味なイギリス人っぽくてたまらんですね

*8:ここを月月火水木金金とするかどうかちょっと考えて、戦時中じゃないからやめました

*9:家電量販店とタワレコが一緒になったような店。CDとか本とか大体なんでも打ってる。都心部とかターミナル駅近くにあった。マンガもゲームもここで買えるよ。ちなみに10年以上前の話でなんだけど、Mangaというコーナーは、ほぼ全て日本の漫画をフラ語訳したものなのである。帰国前のおみやげに名探偵コナンの当時の最新刊と、きょうの猫村さんの1巻を買って帰ってきたっけな。あるんですよフランスにも猫村さんw 

きょうの猫村さん 1

 

*10:彼には仕事中にすれちがったときなぜか「キミガスキダトサケビタイ」ってスラムダンクの歌詞つぶやかれたことがあったんだけど、あれは告白だったのか?それほど仲良くなかったし、まじで謎です。割とすぐに転職してったから会えなくなっちゃったしな