Strawberry Fields Forever
このブログはそもそも学生時代に書いていたものなのですよ。
これから歌詞翻訳サイトとしてちゃんと書くにあたり、デザイン更新したりなんだりしてて、やっぱりあれがないとなと、昔も使っててお気に入りだったアイコン画像を探して古いHDをあさっていたら、昔のブログエントリも一緒に見つかりました。
なんかこんな恥ずかしくキャピキャピしてましたっけ...?と顔から火が出そうになりながら飛ばし飛ばし懐かしく読んでいたのですが、その中に今でも読むに耐えるくらい珍しくよく書けたなと自画自賛できるジョン・レノンの回があったので、個人情報に触れるとこだけ微修正だけして、以下にコピペします。
========== ここからコピペ開始 ==========
----- EXTENDED BODY: ----- EXCERPT: ----- KEYWORDS: ----- -------- AUTHOR: hanatak TITLE: Strawberry Fields Forever STATUS: Publish ALLOW COMMENTS: 1 CONVERT BREAKS: 1 ALLOW PINGS: 1 DATE: 2005/12/10 00:00:00 AM ----- BODY:
1980年。
ジョン・レノンが死んだ年。
そこから四半世紀が過ぎた。
おそらく世界中のファンがそう思うのと同じように私は、
ジョン・レノンのことはどことなく理解できるような気がしていた。
思い上がりも甚だしいけど、ひどく近い感覚を持っている気がしていた。
たとえばストロベリー・フィールズ・フォーエヴァーを聴いたときとか。
Living is easy with eyes closed, misunderstanding all you see.
目を閉じれば簡単だよ。苺畑が見える。
ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァーを聴くためにかけるCDは、
青盤*1でもマジカル・ミステリー・ツアー*2でもなく、駅前でよく売っているような廉価版だ。
ずいぶん前、私が小学生くらいのときに、どういう風の吹き回しか、母がひょいと買ってきた。
(当時の我が家ではクラシックばかりかかっていたのでポップスのCDなんて珍しかった)
ビートルズって何だか知らなかったような幼い私が、そこで初めてイエスタデイを聴いた。
エレクトーンを習っている友達が、イエスタデイを弾いているのを耳にしたことがあった。
きれいな曲なのでちょっと聞きかじっただけでも覚えていた。
その頃好きだった少女マンガ「空色のメロディ」*3の内容と合わせて覚えている。
(それは私がいちばん自由で幸せでいられた最後の時期でもあった)
情感たっぷりな曲として記憶していたから、素っ気ないギターの前奏を聴いて拍子抜けした。
そんなふうにしてビートルズと出会った。
ジョンの歌声は、くぐもっていて変な声だと思った。
でもペニーレインの軽やかな歌いだしやラッパの響きや、
線路を走る車窓の風景に似合いそうなリズムなんかがいいなと思った。
(その頃から音楽を映像に合わせてBGM化する癖があったようだ)
クラシックしか聴いていない耳には、ちょっとうるさく感じられたりもした。
ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァーは、タイトルだけで気に入った。
赤毛のアン症候群みたいな、小さな女の子の胸をときめかすにはうってつけだった。
きれいなメロディと切ない歌詞*4。
最後に妙なリフレインがついているのが不思議だった。
聴くと必ず3歳頃まで住んでいたど田舎の家の、
苺畑ではなくふきばかり生えている野原を思い出した。
目をつぶるとふきの葉っぱや茎がまぶたの裏に映った。
Living is easy with eyes closed, misunderstanding all you see.
高校生くらいになってちゃんと赤盤青盤を聴いて、ビートルズに出会い直したのだけど、
いまでも廉価版CDを聴き続けているように、いまでもふきの野原の印象が消えない。
私にとってのジョン・レノンは、目をつぶると苺畑が見えるよ、
と教えてくれた、大人なのに子どもでもある、友達のような存在になっている。
それぞれのジョン・レノンがあって。
それぞれがいろいろなことを思って。
そうして25年が過ぎた。
いつの間にか平和のシンボルに祭り上げられていたジョンだが、
もし本人がそれを知ったらきっと居心地が悪いんじゃないか、
と私は思っている。
苺畑の変なおじさん。
パイド・パイパーみたいな私のジョン・レノン。
*1:高校のとき、友達を拝み倒してテープに録ってもらったっけ。拝むまでもなく気安く録音してくれたんだけどさ。
*2:ださいそしてサイケ=ダサイケなジャケだ。ジャケではビートルズ・フォー・セールが好きだ。タイトルはリヴォルヴァーが好きだ。
*3:懐かしすぎる…これのまねっこして小説とかマンガとか書いたりしてたなあ。「姫ちゃんのリボン」の作者ですね。
*4:英会話のラジオを聞くのが趣味だったので小学生でも少しは英語が読めた、hung aboutがハンバーガーに聞こえたとしても。
========== ここでコピペ終了 ==========
ふう。若いですね。
先日のエントリでAcross the Universeについて書きましたが、せっかくなのでビートルズ2連発で、Strawberry Fields Foreverもいっちょやってみますかね。
これはジョンが孤児院で過ごした時の思い出だというエピソードを、おそらく新聞の特集記事かなにかで読んだ覚えがあったんですが、どうも本人が孤児院にいたのではなく孤児院が近くにあったのだとか。
ストロベリー・フィールズ・フォーエバー - Wikipedia
では改めてここからが訳です!
Strawberry Fields Forever
ストロベリーフィールズはいつまでも*1
Let me take you down
連れてってもいいかな
'Cause I'm going to Strawberry Fields
ストロベリー・フィールズに行くところなんだ
Nothing is real
なにもかも現実じゃないし
And nothing to get hung about
暇つぶしにもならないけど
Strawberry Fields Forever
ストロベリー・フィールズはいつまでもなくならないよ
Living is easy with eyes closed
目をつぶってれば生きるのは簡単さ
Misunderstanding all you see
目に見えるものはみんな思い違いなんだ
It's getting hard to be someone
ちゃんとした人でいようとすることがだんだんきつくなってきたけど
But it all works out
結局はなんとかなるよ
It doesn't matter much to me
どっちみち僕にはどうでもいいし
* Refrain
No one I think is in my tree
僕の木の中にはだれもいないと思う
I mean it must be high or low
高かろうが低かろうがいないんだ
That is you can't, you know, tune in
それってつまり君は波長を合わせられないってことなんだけど
But it's all right
でも大丈夫
That is I think it's not too bad
あんまり悪いようにはならないと思うよ
* Refrain
Always, no sometimes, think it's me
いつも、じゃないや時々かな、これが僕なんだって思うんだ
But you know I know when it's a dream
でも夢をみてる時はこれは夢だってわかるもんじゃないか
I think a "no" I mean a "yes"
だから「僕じゃない」って思うってことはつまり「僕だ」ってことだよね
But it's all wrong
でもなにもかもが間違ってるなんて
That is I think I disagree
それにはちょっと賛成できないな
Let me take you down
君を連れて行かせてよ
'Cause I'm going to Strawberry Fields
だって僕はストロベリー・フィールズに行くんだから
Nothing is real
現実じゃないし
And nothing to get hung about
暇つぶしもできないけど
Strawberry Fields Forever
ストロベリー・フィールズはずっとあるよ
Strawberry Fields Forever
ストロベリー・フィールズはずっとあるんだ
Strawberry Fields Forever
ストロベリー・フィールズは永遠なんだ
こんな歌だったのか、とちゃんと訳してみて思います。
ビートルズに関しては毎回そんなこと言ってるし今後も言うことになりそうですが。
勝手な解釈をすると、someone = ちゃんと社会生活を営んでいるけれどもそれは世を忍ぶ仮の姿で実際はちゃんとしただれかのふりをして正気を保っている自分 = you であり、歌っているのは狂ったほうの自分 = I で、その you = 正気状態の自分、に話しかけてるのではないかと。
つまり半狂人がかろうじて理性を保っている方の自分に向かってもうずっと狂っちゃえよとけしかけているみたい、に今の私には思えました。
イマジナリーフレンド*2という概念がありますが、もしかしたらそういうのに近い感じかもしれない。
正気っぽい自分にやばい方の自分が「狂ってしまえば辛くないよ」というメッセージを送っている話だとすると結構ホラーではありますが、狂ってしまったらいちご畑で楽しく過ごせるんだったら、そっちの方が幸せなのかもしれませんね。
それにしても。学生時代と今とではずいぶんものの考え方が変わるんだなと思いますね、こうやって文章並べて読むと。
この変化は感性の退化ではなく、感性の成熟である、と信じたいです。
*1:一気に「君といつまでも」感が出てしまいますね、若大将...
*2:大島弓子の傑作漫画の一つにF式蘭丸というのがあって、デヴィッド・ボウイに似たイマジナリーフレンドを登場させているので、もしご興味があればぜひ。白泉社文庫の下記に収録されてます。
大島弓子、あれこれ読みましたが私が一番好きなのは「毎日が夏休み」ですね。義父が会社の方針に納得いかず辞表叩きつけて登校拒否の義理の娘と便利屋はじめるめちゃくちゃ素敵な話。うろ覚えだけど、最後に海外出張から帰ったばかりだが思い切り泳いだあとのような気がする、的なフレーズがあって、ほんと私もこんな感じで働きたいなといつも思っています。義父のキングス・イングリッシュもまじでうらやましい。この作品は文庫だと「つるばら つるばら」に入ってます。ちなみに「つるばら つるばら」には近未来に疫病が流行ってる的な描写がわずかにあって、それって今のこの状況にちょっと似てるなと思わないでもないです。