ハナビ、

ハナが東京砂漠で綴るよたばなしです copyright ©︎ ハナ 2009-2017 all rights reserved.

Spotlight

かように音楽のことばかり綴っておりますが、実を申せばグラミー賞よりアカデミー賞派です。

確実と言われた作品がまさかの番狂わせで獲れないとか*1
ディカプリオさん今年も主演男優賞獲れないとか
誰が失言で炎上するかとか
昔ハードボイルドで鳴らしたイケメンでも鬼畜おじいちゃんが何歳まで賞獲りレース続けるのかとか*2
映画評論家の町山智浩さん予想がどんだけ当たるかとか

オスカーにはそういう楽しみ方があるんですよ!

いや、あったんですよ…

ディカプリオさん今年遂に受賞しちゃいましたね…
彼の映画界での立ち位置を象徴するような地獄の淵からこんにちは映画で…
アイル、ビー、バーック*3ってかアイヴ、ビーン、バーーーーーーック!!!!!
ですよ…

3度目ならぬ6度目の正直。
通常の正直の2倍かかってますね、相当な真っ正直ですね。
なんせ一回引退までしたのに復帰して賞さらいにきましたから。
ここで受賞しなかったら町山さん曰く「怖い」「もう何をされるかわからない」ほどになっていたわけですよ*4

アカデミー会員様はスターがお嫌いらしいです。
日本で人気のハリウッドスター様。
ブラピ様、ジョニデ様、そしてあのトム・サイエントロジー・クルーズ様。
みいーーーーーんなオスカーの主演男優賞には*5ご縁がございません!
(全員ノミネートはされてる、それが余計気の毒)

余談ですが私はアルゴ以来ベンアフ好きなのですが、彼は数年前アルゴで監督として作品賞獲ってますが監督賞は獲れなかった、どころかノミネートもされなかったんですよ。
JLoさんといちゃつきすぎて干される等の辛酸なめてますから。
その結果、史上稀にみるオスカーノミネートなしの全米監督協会賞受賞者になってました。*6
選考委員ってか風紀委員じゃねーかヲイ。

アカデミー賞の選考委員って?
http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000115871

町山さんが語るアカデミー賞とディカプリオ
http://machiokoshi666.blog.fc2.com/blog-entry-50.html

町山さんによる今回の振り返り(クソワロ)
http://miyearnzzlabo.com/archives/36341

その名のとおりガチのアカデミック。
つまりは保守系老害政治家のような(失礼)。
もしくは「あーらハナさんったら少し煮物のお味が濃いようじゃございません、最近の若い人は何ですのほら、化学調味料とかお使いになるようですし、あたくしどもの時代にはコンブにかつぶしにシイタケしかなかったもんでございますからね、いやあねえ年よりは味覚が古くってごめんなさいね」とかいう嫁いびりお姑さんのような(これまた失礼)。

はあはあ。日暮れて本題遠し。

要するに何が言いたかったかっていいますとね。
そんな文字通りのアカデミック老害が選んだ去年いちばん面白かったアメリカ映画=アカデミー作品賞が、本日のタイトルの「スポットライト 世紀のスクープ」なんですよ!

だけどゴールデンウィークが10連休になったもんだからさすがにレジャーらしいことしたくってとりあえず映画でもみようかってなってたぶん10年ぶりくらいにわざわざ映画館にみにいったんですよ!
もうこないだ映画館でみたのなんていつだったか覚えてないよ!*7

かように今までディカプリオさんで盛り上がってきたのに何で受賞作のレヴェナントじゃなくてこっちにしたかってそれはね、ディカプリオ映画が3時間近くもあるからなんですよ!!!
長いよ!!!!!*8

という消極的な理由でみたにもかかわらず。
2時間が40分くらいにしか感じられないほど夢中になってしまった。
保守老害(超失礼)の太鼓判だろうが何だろうが。
本当に素晴らしい映画でした。

****

スポットライト 世紀のスクープ
http://spotlight-scoop.com

さっくりなあらすじを述べますと。
かなり忠実に実話に基づいた映画だそうです。

ボストンが舞台。
2001年にゲーガンという神父が少年を性的に虐待した罪で訴えられていたが、裁判の結果、示談になったという事件が地元紙ボストン・グローブの小さな記事になった。
その神父は過去にも同様の性的虐待で訴えられていた。
記事は、示談にしたらまた同じことが起きるだろう、と締めくくられていた。
そこへマイアミから来た新しい編集局長が着任。
この事件を掘り下げて取材するよう指示する。
カトリック教会絡みの案件には触れないのが地元では暗黙の了解だったが、よその土地から来たユダヤ系の新編集局長にはそんな縛りはなかった。
“スポットライト”と呼ばれる特集欄を担当するチームの5人が調査を始める。
やがてその神父に限らず、他の神父も含めた何百件にものぼる性的虐待と教会ぐるみの隠蔽工作が明らかになる。

神父らは、
貧困家庭で、
父親がいない、
内省的な子を、
選んで餌食にしていた。

訴えられるリスクが小さく、たとえ訴えられても立場が弱いために金で解決できる家庭の子どもを選んで虐待していた。

文字通りの聖職者がこの上なく卑劣な人権侵害を組織ぐるみで行っていた。
そして同じ地域の人間は地元では絶対的な信頼と権力を持つ教会内部にメスを入れることは決してなかった。

記者らは地道な聞き込みや気の遠くなるような調査や内部への探りや圧力との駆け引きや自身の葛藤や9.11に配慮した公開の遅延やとにかくいろんなものに長期間にわたって取り組み続け、確たる証拠を集めて、記事にする。

記事が刷り上がった日曜の朝の編集局がラストシーン。

****

いや本当にすごい話でした。
神父の罪を暴くのではなく、システムを糾弾して改善することが記事の目的で、それを成し遂げた。
事実であるからこそ感動もひとしおでした。

まずボストンがこれほど保守的な都市だとは思いませんでした。
先進的な学園都市ってイメージでしたから。

過去の裁判の証拠書類である公開資料が裁判所内部であっさり紛失してるんですよ。
ガチ隠蔽です。

学校にも神父がいて、部活まで受け持っていたりするとか…でもこれはカトリック系の私学校には普通のことなのかな?
しかしそこでも虐待起きてます。

この種の人権侵害は、ありとあらゆる集団内で発生するし、弱い立場の者が狙われるし、権力によって隠蔽させられたり羞恥心から自分で隠蔽してしまうことが多々あるのは知っています。

それが教会によって行われた場合、それが信仰を脅かす二重苦になると被害者が語っていました。

だから被害者は皆「生き残った者(survivor)たちなんだ」と。

この驚愕ばかりの映画中で、私がいちばん驚いたのは、そのように死ぬほどの苦しみを受けてもなお「でも信仰は別なんだ」と語った、別の被害者の言葉でした。

子どもが自殺するほどの精神的苦痛を受けながらも捨てなかった信仰とは何なのか、その強さはどこから来るのか。

結婚式でクリスチャンになって葬式で仏教徒になる大半の日本人(含む私)には、信仰とはどんなものか正直理解しがたいです。

発想の転換とか、周囲の愛情とか、自分への自信とか、未来への希望とか、もしたら皮肉にも信仰そのものが、被害者を生き残らせたのかもしれない。

妻も子どももいるんだ、メモはいいが実名はやめてくれ、と取材の冒頭で嫌がっていた彼が、取材が終わって去り際に、名前を出してもいいよ、とそっとつぶやいたのも印象的でした。

最後に。

スポットライトというのは実際の特集欄の名前なんでしょうが、ラストで明らかになったチームのデスクにまつわる事実とそれに対して編集長が述べた「光が当たるまでは…」というひと言。
脚本賞受賞もなるほどと思う素晴らしい台詞でした。

私もこのような組織ぐるみの隠蔽や人権侵害を、無意識どころか意図的にも見過ごすことがあることはよく自覚しておきたいと思います。
その上で個人ではなくシステムを改めるよう動きたいものだなと感じます。

派手な演出も斬新な特殊効果も素敵な音楽も使わずスター俳優さえ起用しない。
でもきっちり作品賞と脚本賞。
納得です。

あ、あと撮影監督が日本人です。
マサノブ・タカヤナギさん。
世界にひとつのプレイブック*9撮ってる!たしかにあのすっきりきれいにみせる光の感じ。すごいなあ。

町山さん解説もありました
http://miyearnzzlabo.com/archives/31555

やっぱ映画は映画館でみないとね。
お茶飲んだりスマホいじったり関連事項ぐぐったりせず映画そのものに没頭できるからね。
トイレを気にせずビール飲みながら人を駄目にするソファにおさまってみる名作も止められないけど笑

いやー、映画って、本当にいいもんですね!
水野晴郎の名言より)



処でちょっとしぼむ後日談。
この新聞社購読者減少により売却されてますね…
だからラストのクレジットにレッドソックスの名前があったのか…
世の中難しいね…
http://www.afpbb.com/articles/-/2959764?act=all

*1:主にブロークバック・マウンテンの悲劇を指す。作品賞のプレゼンターだった大大大好きなジャック・ニコルソン様がついwhat happened?って言っちゃった案件です

*2:やだおじいちゃんったらまだ殺る気… http://eiga.com/news/20160317/16/

*3:カリフォルニア州知事

*4:ディカプリオさんの実力からして獲れないのは圧倒的におかしいです。他の方々もそらおいしくいただける高級フレンチ級のお芝居ですがディカプリオさんは宮廷料理ばりのフルコースにまで仕上げてきます。どんだけ基礎が違うかは若き日のジョニデと共演してたギルバート・グレイプでもみるよろし。下手に昔お顔が可愛かったもんだからタイタニックなんかに出てアイドル扱いされちゃってかつ本人も調子乗ってましたが俳優としてのキャリアを鑑みると逆に可愛かったお顔が邪魔しちゃった感ありますよね。あ、ちなみに私タイタニックみてません。

*5:ブラピ様はそれでも夜は明けるの製作で作品賞獲ってますね。ベンジャミン・バトンは素晴らしい挑戦でしたが相手が悪かったですね。ショーンペンがハーヴェイ・ミルクじゃ勝てないよー。あとブラピ様はやっぱり嫁がすごいですね。

*6:これな。 http://m.elle.co.jp/culture/celebgossip/Ben-Affleck-Wins-Directors-Guild-Award-for-Argo-I-m-on-My-Way-13_0205

*7:こないだ彼氏がいたのいつだったか覚えてないのと一緒だよ!だってほら映画館行かなくてもTSUTAYAとかWOWOWとかHuluとかで好きな映画もおまけにドラマもみられるじゃん≒彼氏いなくてもほら…うん…言わぬがハナ

*8:まあでもやっぱみにいこうと思いますよ一応。なんかほら、熊に襲われるとこみたいし

*9:超余談ですがこのタイトルをプレイブックじゃなくてプレイバックだと間違えてましたね〜。ジェニファーローレンスの仏頂面が光ってました。人格障害すれすれのShall we ダンス。いい映画です。あとデニーロの無駄遣い具合がすごくてもはや津川雅彦w