My huckleberry friend
Moon Riverという世紀の大名曲がある。
数々のステージやカフェやバーやレストランやホームセンターやスーパーや商店街や…ありとあらゆる場所でかかりまくっているあれである。
知らない人の方が少ないくらいの名曲である。
もともとは「ティファニーで朝食を」というこれまた世紀の大名作映画の中で、世紀の名女優のオードリー・ヘプバーンによって歌われた。
歌唱力が信頼されてなくて口パクになりかかったんだとか。
(別の世紀の名女優カトリーヌ・ドヌーブも歌唱力クソだと思われてたってエピソード聞いたっけな。「シェルブールの雨傘」*1ってば全編吹き替えだもんね)
なんかうっかりお蔵入りになりかけたものの結局は使われ、そして世界を駆け巡るという。
オードリーが一番この曲をわかっていた、とは作曲者のヘンリー・マンシーニの言だそうで。
つい最近。ふとしたきっかけでこの曲が頭の中に浮かんできた、というのも。
我々の世代の大ヒット漫画「ハチミツとクローバー」*2の中に、主人公群のひとりの真山という割といけてる男の子が年上の足元も精神的にもちょっとあやうい女に惚れてしまっているのだが、それというのも彼女がひとりでいるときにムーンリバーを口ずさんでいた、ムーンリバーが恋に落ちたきっかけだった、そんで着メロもムーンリバーにしている、というエピソードがあって。
最近一緒に仕事してた同僚氏がふとしたことで美大出身と聞いて思わず、うわー美大超憧れます!ハチクロとか!
と口走ったためになぜかムーンリバーのことを思い出してしまった、という経緯でした。
それはそれとして。
このタイトルに書いた“My huckleberry friend”という一節、本当に天才だよな、素晴らしい歌詞だな、と考えただけで泣けそうです。
がしかし。
私はいままで歌詞の全貌を知らなかったのであり。
じゃあこれを機に調べてみたらワイドンチュー?というわけで。
幸いApple Musicを利用しているので、聴きたくなったらすぐ歌詞つきで聴ける。
(カラオケがとんでもなく捗る機能ですよね)
しかもオードリーのバージョンで。
そりゃあ米津玄師もサブスク解禁するってよ。
関係ないけど『桐島、部活やめるってよ』*3のタイトルも相当な大傑作だと思う、小説読んだことないし、申し訳ないがそれほど読みたくもならないのだけど、このタイトルの天才っぷりからするときっとよい小説家なんだろうな朝井リョウ氏、と察せられます。
で、なんと2, 3度みたらあっさり覚えられるくらい短い歌詞だった。
いま↓打ったけどほぼ覚えてた。
確認してaとtheがいっこ違ってたくらい。
Moon river, wider than a mile
I'm crossing you in style some day
Old dream maker
You heart breaker
Wherever you going
I'm going your way
Two drifters
Off to see the world
There's such a lot of world to see
We're after the same rainbows end
Waiting round the bend
My huckleberry friend
Moon river and me
最近の私は仕事でゴリゴリ英語筋トレみたいな状況にあってそれはもう毎日辛いことこの上ないのだが*4、このくらいの英文だとさすがにお、こいつはあっさり読めるありがてえ、と思うくらいにはなってるので、訳してみむとてするなり。
Moon river, wider than a mile
ムーンリバー、お前は広い
向こう岸は遥かに一マイル
I'm crossing you in style some day
でもいつかさっそうと渡ってやるんだ
Old dream maker
幼い頃の夢であり
You heart breaker
心臓破りの挑戦だった
Wherever you going, I'm going your way
お前が流れつくところに僕もついていこう
Two drifters
僕とお前は流れ者
Off to see the world
世界をみるため流れ旅
There's such a lot of world to see
世界は見尽くせないほど果てしもないが
We're after the same rainbows end
僕らは同じ虹のふもとに行き着くさ
Waiting round the bend
あの角を曲がった辺りで待っていて
My huckleberry friend
僕らはトムとハックのように
Moon river and me
寄り添いながら旅してる
ムーンリバーと僕
最初I'm crossing you in styleで詰まって、あなたを交差…?何…?ってなったんですが、youがMoon riverだとわかってからは( ゚д゚) ハッ! となりました。
これを月の川としてしまうと急にえっ天の川?(ちなみにそれはMilky way)などを彷彿とさせて雰囲気はあっても意味が曖昧になるのですが、でもMoon riverが実在の川というエピソードをどなたかのブログなどで見たのであっとひらめいたのでありました。
ハチクロのせいか「ティファニーで朝食を」のストーリーのせいか(みてないですが)、ロマンチックな恋の歌なんだろうなと勝手に思っていたのですが、川の歌だとするとしっくりくるし、オードリーのあの正体不明かつ寂しげな感じが際立って良いと思います(みてないですが)。
heart breakerはこうじゃないだろうなと思いつつも幼い日に川を渡ろうとして息も絶え絶え、というイメージにしてみました。少年が川に挑む、よく晴れた夏の日の、川の水がざぶん感を伝えたいですね。
the same rainbow endも美しい一節ですね、虹の根っこには黄金が入った壺があるかなんかでしたっけ?
「オズの魔法使い」はOver the rainbowですが。*5
とはいえ川でもあり、かつ川になぞらえた幼なじみや生涯のパートナーの歌かもしれないと思うとそれもまたよし、なんといってもハックルベリーフレンド、というこの一節、その響きと概念が本当に素晴らしく例えようもなく美しい、そういう相手なり場所なり物なりが自分の人生にもあれば老いるもまたをかし、とふと自分が幼い頃に暮らしていたど田舎の風景に思いを馳せたのでありました。
ちょっと恋バージョン、女→男でもやってみようか。
Moon river, wider than a mile
私のムーンリバー
一マイル泳いでもあなたまで届かない
I'm crossing you in style some day
でもきっといつか届いてみせるから
Old dream maker
旧い恋の夢と
You heart breaker
未だに続く恋の痛みをくれた
Wherever you going, I'm going your way
あなたにどこまでもついていくの
Two drifters
あなたと私
Off to see the world
広い世界であてもない旅
There's such a lot of world to see
見尽くせないほど広くて迷子になりそうな世界
We're after the same rainbows end
でも同じ虹のふもとを目指してる
Waiting round the bend
だからあの角を曲がった辺りで待っていて
My huckleberry friend
私のハックルベリー・フィン
Moon river and me
ムーンリバー、ふたりならどこまでも
いやこれはこれで。自画自賛ですが良いですね。
Old dreamがheart breakだとして、でもI'm goingだから、幼なじみへの今も続く恋の歌なんでしょうか。単なる片思いではなく、遠く離れたところにいるもはや人生の相棒となりつつあるだれかに向けた歌というか。
なんだかいまがみるべきタイミングのような気がするから、夏休みにでも拝見しますね、「ティファニーで朝食を」。
※後日注: ちゃんとみました!夏休みに。この映画の最大の魅力は冒頭のティファニー前でデニッシュをかじるオードリーでした!まじで完璧に美しい。それからオードリーのムーンリバー。猫がカワイイ。ファッションが素敵。話は割とどうでもいい。
多分カポーティーの原作読んだほうがいいのかもしれませんね。どうやら映画とは全然違う話らしいです。
*1:私がラストで必ず泣いてしまう映画その1。カラフルで悲しくて美しいのです。
*2:ハチクロには全然はまらなかったですねしかし。なんかギャグがしんどいし、最後のハグと森田さんが結ばれるあたりだけはとても良いけどあとは全編いい子ちゃんの話で。なにより事故でしめるのはなんかあかんと思う。
*4:というのも自分は日本語が得意だからなのです。英語の文だと一瞬たりとも自画自賛、悦にいったり楽しくなったりなどできやしない、圧倒的な語彙力不足と、こういうシチュエーションのときなんていうか的な事例知らずのせいで、下手なことはとてもよくわかるもののだからってうまくは到底なれない。楽譜読めるしリコーダーは吹けるのにフルートは吹けるようにならないなぜなら訓練しないと音が出ないからとかと一緒で非常にしんどい
*5:そういえばジュディ・ガーランドの伝記映画「ジュディ 虹の彼方に」も気になってます。レニー・ゼルヴィガーがアカデミー主演女優賞を受賞しましたよね。私レニー・ゼルヴィガーに顔が似てるって言われたことあるんですよ、「ブリジット・ジョーンズの日記」の三作目(ダメな私の最後のモテ期)をみた某友人から。悪気はないかつむしろ良いイメージがあって言ってくれたんだけどそうですかブリジットですか…ってなるよね。
しかしブリジット・ジョーンズのシリーズはあの英国名作文学の『高慢と偏見』の本歌取り、いやリミックスというべきか、だから侮れないのですよね。