ハナビ、

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Dieu est un fumeur de havanes

葉巻のことを書こうと思う。こないだ葉巻を初体験したので。


吸った葉巻はまじりけなしのキューバ産。
シルバーウイークキューバに旅行して、首都ハバナの専門店で買った。
ちゃんとした本物の手巻きシガー。


旅行は代理店主催のツアーにのっかって行った。ごはんもついてる楽ちんなやつね。
本当はフリープランのある個人旅行がよかったんだけど、なにせチケットが取れなかったし、逆に値段も高かった。


15人の日本人観光客とガイドさん1人から成るご一行様が、現地人のイケメンガイド氏に、まとめてぞろぞろとお店に誘導された。
ガイドブックにも載っているいわゆる有名店である。
薄暗い店内の、濃い色の木材で造られたカウンターの上に、アソート的なものをあれこれ並べてもらって、押し合いへしあいしながら選んだ。
(これはほかのお店でもそうなんだけど、キューバの店はラム酒博物館とかもなぜか一様に店内が暗かった印象がある)


私は太めのやつ5本入りと少し細めのやつ6本入りの2種類を選んで買った。
ツアー客の少々スカした感じの中年男性に「そんなに太いの買うの?マフィアじゃないんだから」とディスられたが。
太い方がむしろ吸いやすいらしいと事前に調べておいたので。
ちなみに同行の友人(9歳下)は「あの人ツアー客の中で一番嫌い」と言っていた。


キューバでは時間の感覚が圧倒的に違った。
アメリカに経済制裁を受け続けていた国である、つい最近国交回復してニュースになったけど。
そのため、生活用品にしろ建築資材にしろ、新しいものが入ってくるルートが限られている。
そのうえ共産主義国だから、政府が国内の経済を統制していて、普通の国民はさらに持てる資産が限られている。
だからもともと持っていた古いものを何とか維持して、状態をつなぎとめて暮らしている。
ハバナの旧市街は、スペインの植民地時代の建物がそのまま使われて、それが文化資産になっている。
名物のクラシックカーも、古いものを何とか使おうという工夫の結果である。
ちなみに最近になってやっと自営業の許可がでたらしい。クラシックカーでタクシー営業する人が増えたのもその影響だとか。
そんで飲食店やらタクシー運転手やらの自営業はキューバ国民的には勝ち組らしい。
一般家庭には未だに雨水を貯めるタンクがあって、生活用水として使っているときいて仰天した。


街の様子をひとことでいえば「退廃的」という表現になるものの、だめになる悲壮感みたいなものはない。
配給(!)や医療なんかの保障がしっかりしていて、貧乏で働けないことがイコール死にはならない。
つまり危機感がないからだと思う。
しかしまあ教科書にもあるように、共産主義の失敗の一因は、そんな危機感のなさに付随する労働意欲の欠如であり。
昼間からぷらぷらしているおっさんとか結構いた。
金持ちは税金ふんだくられるばかりだから逃げたくなりそうだし。
実際逃げるらしい、マイアミあたりに。ゴムボートで(!)


時間の感覚が違ったのはもちろん、こちらにも原因があって。
バカンスで、日本でのがさがさした繁忙を離れているからとか。
何よりネットがつなげないから気持ちにゆとりがあったんだと思う。
メールもツイッターも気にすることなかった*1
ただ歩いて、ときどきシャッターチャンスに真剣になるくらいでよかった。
そもそも旅行の醍醐味って、名所旧跡をスタンプラリーみたいに追っかけることじゃないよね。
違う風景を楽しんだり、違う気候の違う空気を吸ったり、違うものを食べてだらだらしたり、とかそういうことにあるのだ、少なくとも私の場合。
スタンプラリーする奴らのことは「観光貧乏性」と勝手に命名している。


旅行先がなぜキューバだったのかというとアメリカとの国交回復のニュースがあったから。
実際にはそうなりそうというタイミングで申し込んで、回復前に間に合うかと思っていたのだが。
意外に動きが早く、行く直前に回復してしまって、シルバーウイークには既にアメリカ大使館が設置されていた。
アメリカという国は近代になってからはまじで世界の諸悪の根源だとずっと思っている。
理由はわんさかありすぎていちいち並べるのが面倒なので、身近な点を端的にいえば未だにやつらが日本を牛耳っているのが嫌である。
だからアメリカに負けていない国にはいいぞもっとやれとわくわくする。
小国ではベトナムが代表格だが、経済封鎖されたキューバもそうである。


ちなみに私の知っているベトナム戦争はといえば。
枯れ葉剤でシャム双生児としてうまれたベトちゃんドクちゃん*2と、映画「フルメタルジャケット」である。
フルメタルジャケット」はかなりお気に入りの映画で、つい最近ブルーレイをつい買って見返してしまったほどである*3
お気に入りの箇所を特に疲れたときやへこんだときに思い出すと元気になれるのである*4
「サーイエッサー!(Sir, yes, sir!)」とかはもちろん。
ほほえみデブの*5「セブンスィックストゥー、ミリメター、フゥメタール…ジャケーッ(7.62 millimeter, Full metal jacket)」とか。
ハートマン軍曹の「人種差別は許さん、黒豚、ユダ豚、イタ豚を、俺は見下さん。全て、平等に価値がない!」とか。
同じくハートマン軍曹の世界最強に下品な歌「母ちゃん父ちゃんベッドイン♪(Mama and Papa were laying in the bed)」とか。
キチガイ兵士*6の「逃げるやつはベトコンだ、逃げないやつはよく訓練されたベトコンだ」「(よく女子供が殺せるなという主人公の言葉に反応して)簡単だ、動きがのろいからな!」とか。
パロられるために生まれたとしか思えないくらい、とにかく名セリフ名シーンのオンパレード。
しかし酷い戦場をありのままに映画にしたかった(反戦という意味すらなく)という監督の言葉どおり、映画としてみせるためのあらゆる小ネタを搭載しつつも「ホント戦争は地獄だぜヒャッハハハァー!」なわけである。
ラスト、死にゆくベトコンの少女をみて愕然としてしまう兵士らのシーンでそれがわかる。


圧巻なのがエンディングの行進。
燃え盛る戦場を背景に兵士たちがミッキーマウスマーチを歌いながら行軍する*7
ディズニーといえば夢の国のふりをした資本主義の権化である。
ちょっとした狂気である。
なんという皮肉な演出。これぞアメリカ。最高である*8




なんだか全く葉巻にならないな。


とりあえずキューバ旅行前に葉巻を買いたくて聴いていた曲が今日のタイトル。
フランス最強のモテエロおやじゲンズブールがフランスの国民的女優ドヌーヴとデュエットしてます。
邦題は「神様はハバナタバコが大好き」だっけな。
男性パートでは、神様はハバナタバコが好きなんだぜ、(神様が吐いた煙であろう)グレーの雲が見えるぜ、でも夜も吸うんだぜ、俺みたいに、とかほざくのですが。
それに対して、あなたジターヌ*9しか吸わないくせに、とか返す歌です。
やりとりが大人のくせに子どもっぽくてかっこいいかなと。

*1:ちなみにfacebookは面倒&リア充アピール専用SNSなので連絡用以外にしばらく使うのをやめている

*2:とそれをネタにしたのかもしれない萩尾望都の『半神』という漫画。高校生くらいのときに友人が持ってたのみんなで回し読みしていた

*3:なんとブルーレイ2本立てで、もう1枚がこれがまたもう好きすぎる同じキューブリック監督の「シャイニング」!!!いままでみたなかで好きな映画10本を選ぶならこれは必ずランクインする。なんというかもう完璧なの。怖くてかっこいい。ニコルソン最高。奥さん顔芸すごい。斧のシーンとかは怖いを通りこしてクソワロ

*4:なんてうっかりいうと私も相当なアレっぽいな

*5:ていうかグズで役立たずにほほえみデブとかいうあだ名つけるの最高すぎるだろ。英語ではゴーマー・パイルというなんかのキャラらしいんだが

*6:ハートマンになりそこねた役者、最初はハートマンの役がついてたのに演技指導に来た元軍隊出身者が余りにも巧すぎたので役を奪われてキチガイ兵士になったが稀代の名セリフを吐けたのでそれもまた良かったのではなかろうか

*7:♪えまいしー、けーいわーい、えーむおゆーえすいー(M-I-C-K-E-Y, M-O-U-S-E)。ってこれほんとにそういう歌詞なのかな

*8:そういやえげつなさでは世界一を誇るデンマーク出身ラース・フォン・トリアー監督の「ドッグヴィル」。やっぱりアメリカの寓話であることを彷彿とさせる内容で、エンディングはデヴィッドボウイの「ヤングアメリカン」だった。ミッキーには負けるがアメリカだったと連想させる選曲で印象に残っている。しかしとんでもなく美人の二コール・キッドマンがチョークで書いたセットの家で次々にレイプされるシーンはエロくはあるもののまじでキツかった

*9:フランスの代表的なブランドですね。フランスでは葉っぱとフィルタと紙買って手巻きして吸ってる人が多かったな