ハナビ、

ハナが東京砂漠で綴るよたばなしです、英語歌詞翻訳はじめました copyright ©︎ ハナ 2009-2022 all rights reserved.

Dieu est un fumeur de havanes

葉巻のことを書こうと思う。こないだ葉巻を初体験したので。


吸った葉巻はまじりけなしのキューバ産。
シルバーウイークキューバに旅行して、首都ハバナの専門店で買った。
ちゃんとした本物の手巻きシガー。


旅行は代理店主催のツアーにのっかって行った。ごはんもついてる楽ちんなやつね。
本当はフリープランのある個人旅行がよかったんだけど、なにせチケットが取れなかったし、逆に値段も高かった。


15人の日本人観光客とガイドさん1人から成るご一行様が、現地人のイケメンガイド氏に、まとめてぞろぞろとお店に誘導された。
ガイドブックにも載っているいわゆる有名店である。
薄暗い店内の、濃い色の木材で造られたカウンターの上に、アソート的なものをあれこれ並べてもらって、押し合いへしあいしながら選んだ。
(これはほかのお店でもそうなんだけど、キューバの店はラム酒博物館とかもなぜか一様に店内が暗かった印象がある)


私は太めのやつ5本入りと少し細めのやつ6本入りの2種類を選んで買った。
ツアー客の少々スカした感じの中年男性に「そんなに太いの買うの?マフィアじゃないんだから」とディスられたが。
太い方がむしろ吸いやすいらしいと事前に調べておいたので。
ちなみに同行の友人(9歳下)は「あの人ツアー客の中で一番嫌い」と言っていた。


キューバでは時間の感覚が圧倒的に違った。
アメリカに経済制裁を受け続けていた国である、つい最近国交回復してニュースになったけど。
そのため、生活用品にしろ建築資材にしろ、新しいものが入ってくるルートが限られている。
そのうえ共産主義国だから、政府が国内の経済を統制していて、普通の国民はさらに持てる資産が限られている。
だからもともと持っていた古いものを何とか維持して、状態をつなぎとめて暮らしている。
ハバナの旧市街は、スペインの植民地時代の建物がそのまま使われて、それが文化資産になっている。
名物のクラシックカーも、古いものを何とか使おうという工夫の結果である。
ちなみに最近になってやっと自営業の許可がでたらしい。クラシックカーでタクシー営業する人が増えたのもその影響だとか。
そんで飲食店やらタクシー運転手やらの自営業はキューバ国民的には勝ち組らしい。
一般家庭には未だに雨水を貯めるタンクがあって、生活用水として使っているときいて仰天した。


街の様子をひとことでいえば「退廃的」という表現になるものの、だめになる悲壮感みたいなものはない。
配給(!)や医療なんかの保障がしっかりしていて、貧乏で働けないことがイコール死にはならない。
つまり危機感がないからだと思う。
しかしまあ教科書にもあるように、共産主義の失敗の一因は、そんな危機感のなさに付随する労働意欲の欠如であり。
昼間からぷらぷらしているおっさんとか結構いた。
金持ちは税金ふんだくられるばかりだから逃げたくなりそうだし。
実際逃げるらしい、マイアミあたりに。ゴムボートで(!)


時間の感覚が違ったのはもちろん、こちらにも原因があって。
バカンスで、日本でのがさがさした繁忙を離れているからとか。
何よりネットがつなげないから気持ちにゆとりがあったんだと思う。
メールもツイッターも気にすることなかった*1
ただ歩いて、ときどきシャッターチャンスに真剣になるくらいでよかった。
そもそも旅行の醍醐味って、名所旧跡をスタンプラリーみたいに追っかけることじゃないよね。
違う風景を楽しんだり、違う気候の違う空気を吸ったり、違うものを食べてだらだらしたり、とかそういうことにあるのだ、少なくとも私の場合。
スタンプラリーする奴らのことは「観光貧乏性」と勝手に命名している。


旅行先がなぜキューバだったのかというとアメリカとの国交回復のニュースがあったから。
実際にはそうなりそうというタイミングで申し込んで、回復前に間に合うかと思っていたのだが。
意外に動きが早く、行く直前に回復してしまって、シルバーウイークには既にアメリカ大使館が設置されていた。
アメリカという国は近代になってからはまじで世界の諸悪の根源だとずっと思っている。
理由はわんさかありすぎていちいち並べるのが面倒なので、身近な点を端的にいえば未だにやつらが日本を牛耳っているのが嫌である。
だからアメリカに負けていない国にはいいぞもっとやれとわくわくする。
小国ではベトナムが代表格だが、経済封鎖されたキューバもそうである。


ちなみに私の知っているベトナム戦争はといえば。
枯れ葉剤でシャム双生児としてうまれたベトちゃんドクちゃん*2と、映画「フルメタルジャケット」である。

フルメタル・ジャケット (字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
フルメタルジャケット」はかなりお気に入りの映画で、つい最近ブルーレイをつい買って見返してしまったほどである*3
お気に入りの箇所を特に疲れたときやへこんだときに思い出すと元気になれるのである*4
「サーイエッサー!(Sir, yes, sir!)」とかはもちろん。
ほほえみデブの*5「セブンスィックストゥー、ミリメター、フゥメタール…ジャケーッ(7.62 millimeter, Full metal jacket)」とか。
ハートマン軍曹の「人種差別は許さん、黒豚、ユダ豚、イタ豚を、俺は見下さん。全て、平等に価値がない!」とか。
同じくハートマン軍曹の世界最強に下品な歌「母ちゃん父ちゃんベッドイン♪(Mama and Papa were laying in the bed)」とか。
キチガイ兵士*6の「逃げるやつはベトコンだ、逃げないやつはよく訓練されたベトコンだ」「(よく女子供が殺せるなという主人公の言葉に反応して)簡単だ、動きがのろいからな!」とか。
パロられるために生まれたとしか思えないくらい、とにかく名セリフ名シーンのオンパレード。
しかし酷い戦場をありのままに映画にしたかった(反戦という意味すらなく)という監督の言葉どおり、映画としてみせるためのあらゆる小ネタを搭載しつつも「ホント戦争は地獄だぜヒャッハハハァー!」なわけである。
ラスト、死にゆくベトコンの少女をみて愕然としてしまう兵士らのシーンでそれがわかる。


圧巻なのがエンディングの行進。
燃え盛る戦場を背景に兵士たちがミッキーマウスマーチを歌いながら行軍する*7
ディズニーといえば夢の国のふりをした資本主義の権化である。
ちょっとした狂気である。
なんという皮肉な演出。これぞアメリカ。最高である*8




なんだか全く葉巻にならないな。


とりあえずキューバ旅行前に葉巻を買いたくて聴いていた曲が今日のタイトル。
フランス最強のモテエロおやじゲンズブールがフランスの国民的女優ドヌーヴとデュエットしてます。
邦題は「神様はハバナタバコが大好き」だっけな。
男性パートでは、神様はハバナタバコが好きなんだぜ、(神様が吐いた煙であろう)グレーの雲が見えるぜ、でも夜も吸うんだぜ、俺みたいに、とかほざくのですが。
それに対して、あなたジターヌ*9しか吸わないくせに、とか返す歌です。
やりとりが大人のくせに子どもっぽくてかっこいいかなと。

youtu.be

*1:ちなみにfacebookは面倒&リア充アピール専用SNSなので連絡用以外にしばらく使うのをやめている

*2:とそれをネタにしたのかもしれない萩尾望都の『半神』という漫画。高校生くらいのときに友人が持ってたのみんなで回し読みしていた

*3:なんとブルーレイ2本立てで、もう1枚がこれがまたもう好きすぎる同じキューブリック監督の「シャイニング」!!!いままでみたなかで好きな映画10本を選ぶならこれは必ずランクインする。なんというかもう完璧なの。怖くてかっこいい。ニコルソン最高。奥さん顔芸すごい。斧のシーンとかは怖いを通りこしてクソワロ

シャイニング (字幕版)

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*4:なんてうっかりいうと私も相当なアレっぽいな

*5:ていうかグズで役立たずにほほえみデブとかいうあだ名つけるの最高すぎるだろ。英語ではゴーマー・パイルというなんかのキャラらしいんだが

*6:ハートマンになりそこねた役者、最初はハートマンの役がついてたのに演技指導に来た元軍隊出身者が余りにも巧すぎたので役を奪われてキチガイ兵士になったが稀代の名セリフを吐けたのでそれもまた良かったのではなかろうか

*7:♪えまいしー、けーいわーい、えーむおゆーえすいー(M-I-C-K-E-Y, M-O-U-S-E)。ってこれほんとにそういう歌詞なのかな

*8:そういやえげつなさでは世界一を誇るデンマーク出身ラース・フォン・トリアー監督の「ドッグヴィル」。やっぱりアメリカの寓話であることを彷彿とさせる内容で、エンディングはデヴィッドボウイの「ヤングアメリカン」だった。ミッキーには負けるがアメリカだったと連想させる選曲で印象に残っている。しかしとんでもなく美人のニコール・キッドマンがチョークで書いたセットの家で次々にレイプされるシーンはエロくはあるもののまじでキツかった

ヤング・アメリカン

ヤング・アメリカン

*9:フランスの代表的なブランドですね。フランスでは葉っぱとフィルタと紙買って手巻きして吸ってる人が多かったな

encore une fois

昨日、パリが同時多発テロで大変なことになりました。
そんな中でまさかのブログ再開です。


フランスに行くところでこのブログは放置されていますが、果たしてどうなったのかというと。
約9ヶ月の滞在を無事にどころか、これ以上ないほどに満喫して帰国しました。
本当に嘘みたいにラッキーなことしか起こらなかった。
家も借りられたし、職も得たし、一生ものの友人とも出会ったし。
大好きだったバンドのまさかの解散の現場に居合わせたし。*1
飽きるほど旅したし。


でもビザが切れるタイミングで、あっさり日本に戻りました。
まあ早い話が日本がというか、日本食が恋しかったんですね。
あと疲れちゃってたんだな。
やっぱ海外で暮らすのはそれなりに神経はりつめるんですわ。
外出するときは割と汚い服で早足で、荷物には異様に気をつけていたな(スリ&強盗対策)。
仕事では最初とにかく言葉がわかんないから毎日働くのガクブルでしたし。
最初の頃は通勤メトロでリアルに震えてて、日本から遊びに来た友人にあきれられたものです。


何より、フランスに残ってくれ、同棲ビザ出すから!とかいってくれる仏男がいなかったですし…
外国人がビザなしで闇で働くの相当な犯罪になるので無理っす。
(まあ実際いますけど、結構)


そんで日本に帰国後。
フランスっぽい生き方に影響を受けて、労働意欲があまりなくなってしまって。
こいつはどうしたもんかと思いました。
とはいえ貯金も結構使ってしまったのでそうそうぼんやりしているわけにもいかず。
リーマンショックの余波で求人もまだ厳しい時期でした。
今度はフランスで超ラッキーだった反動なのかと思うほど、異様に再就職がきつかったですね。
フランスでちんたらしてきたようにしか見えない人など企業にとってはイミフなわけですよ。
(実際どんなにがんばってたかわかんないんだろうな…まあ私のアピールが下手なだけかもしれんが…)
ちなみにそのとき私、結婚出産しても仕事絶対辞めないほうがいいと思いましたね。
1年でこんなに厳しいんだから出産育児後3年して復帰とか超絶難関すぎですわ。


で、なんかちょっと公共よりのいまいちな職場で3年ばかり働いたあと。
比較的まともな現在の会社に転職しました。
転職のタイミングでなぞの病気(で腸がやられてとても具体的に書きづらいようなあれこれ経験)をしましたが。
幸い大事には至りませんで、いまもなんとかおとなしく会社員をやっています。


この辺でその後の人生の概要終わり。


さて。
テロの現場のひとつだったサンドニのstade de franceには、U2のコンサートでいきましたっけ。
ラッキーなことに某音楽サークルの大大大先輩のご夫妻とそのお子さんがパリに住んでいらっしゃって。
面識はなかったのですが、別の大先輩が紹介してくださり。
滞在中は本当にいろいろ親切にしていただきU2もチケットとってくださって、いっしょにみました。*2
ゴシック様式の大聖堂が大変有名で、マリーアントワネットのお墓もあるんではなかったかな。
入場する際の荷物チェックで一眼のカメラ持ち込み禁止って言われて取り上げられたの覚えてます*3
ついでに大聖堂を観光して写真撮りまくってたんで、一眼持ってたんですね。
水の入ったペットボトルとかも取り上げられてた気がします。
だからセキュリティ機能してるのに、よくテロリスト爆弾物持って入れたなって思いました。
ニュースでは現場に居合わせた人が花火かと思ったって言ってたそうですが。


なんだかフランスも危ない国になってしまいましたね。
というかもはや全世界的に危ないんではないかな。
実はこないだ思い立ってキューバ行ったんですが(まあいずれそれも書きます)。
例えばキューバのゲリラ戦が世界各地で突然勃発しうると想像してみたまえですよ。
例えばラグビーワールドカップやっほーとか盛り上がってる東京は渋谷のスクランブル交差点で。
うっかりテロリストが銃乱射しちゃうってことですよ?


怖すぎる。


だから東京オリンピックなんておいおい喜んでる場合じゃないよ、
テロリストの格好の餌食で危険極まりないよ、と心配だったのですが…


気づけば超夜更けになってたので、とりあえずこの辺でやめておきます。
明日休日出勤だしな。


ずいぶん久々にもの書いたのでペース悪いし、まだとても見せられたもんじゃないですね。
キーワードリンクのつけ方とかも覚えてないや。
まあ我慢してください、あと5〜6エントリーくらい書けばそこそこ調子戻るはず。


ではまた。多分。


あ、今日のタイトルはフラ語で「もう一回」って意味でした。
この曲の歌いだしですね。
その名も「Tanka I」です。

「もう一回」といえば大塚愛のあーたしさくらんぼ♪ですけど、
そいやこないだどっかの店でかかってた大塚愛プラネタリウム、なんの曲かわからないのにそらで歌える自分に仰天しましたっけ…
どうせなんでそれものっけてみよう。

*1:はい。衝撃ですね。キャンセルされたその場にいましたね。かわりにスカバンドのMadnessが2度ステージやってくれれて、しかも彼らの定番の決めセリフであるらしい"We... are... Madness"ってのを"We... are... not Oasis... We...are... Madness"って言ってくれてていい人たちだなあとにわかファンになりました。

One Step Beyond

One Step Beyond

  • アーティスト:Madness
  • 発売日: 2010/09/14
  • メディア: CD

*2:360° Tourですね。すごいセットでした。「年々派手になる」と仰ってましたっけ。ここで聴いてめちゃくちゃ好きになったのがUltravioletでした。

Achtung Baby

Achtung Baby

  • アーティスト:U2
  • 発売日: 2011/11/01
  • メディア: CD

*3:あとスタジアム入る前に、おなかすいたなー、でもお金あんま持ってないなー、って、その辺のパン屋でクロワッサン(1.1ユーロ、150円くらいかな)買って食べたのも覚えてます。フランスで一番安い食べ物っていったらパンなんで。日本の食事情豊か過ぎですよ、おにぎり100円とか牛丼300円とか天国ですよ。サンドイッチなんてコンビニで200円とかでしょうけどフランスだとちょっと具が入ってるだけで500円くらい平気でしちゃいますもん

The Long Goodbye


レイモンド・チャンドラー没後50年の日に。



先日本屋で『ロング・グッドバイ』買いました。
ペーパーバックになるのを待ってたんですよ。

表紙がなんかどーでもいい感じになってしまったのが悔しいが、手元にあった図書カードで購入しました。
元々はこんなにかっこよかったんだってばよ。
ロング・グッドバイ

ロング・グッドバイ

ていうか推薦文カズオ・イシグロ*1が書いてる!!!
http://www.hayakawa-online.co.jp/lgb/


余談ですが、日本でしかお買い物できない商品券とかポイントとか使いまくりました。
カード利用でたまったポイントでゲットしたVISA商品券でDSソフトそろえ*2
タワレコポイントでThe Bird & The Beeの2作目*3アシュケナージショパン名曲集*4買いました。


んで、村上春樹訳ですよ。


いままで出てる村上春樹の訳本のなかでは、
キャッチャー・イン・ザ・ライ』『グレート・ギャツビー』を持ってます。
グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

キャッチャーは文句なしによいと思われ。
オトナになりきれないホールデン君には村上春樹調が似合う。
野崎孝訳より数倍面白くて数倍きゅんときたです。*5


が。


ギャツビーは無理だった。。
野崎さん圧勝。
村上訳で読もうと思ったのにむしろ野崎訳を買ってきて村上訳放置。
グレート・ギャツビー (新潮文庫)

グレート・ギャツビー (新潮文庫)

たとえば冒頭から無理。

野崎訳「さあ 金色帽子を被るんだ それであの娘がなびくなら」(手元に本がないのでウロ覚えすいません)
村上訳「もしそれが彼女を喜ばせるのであれば、黄金の帽子をかぶるがいい。」

判定:野崎>村上
敗因:リズムの差


あとは野崎訳「僕がまだ年若く、いまよりずっと傷つきやすい心をもっていた時分に」が、
高校のときやってた芝居のセリフとして耳に残ってたので別の訳だと違和感がある。
(こっちは単に個人的思い入れ)
そしていちばん無理なのがいわずもがなの、



「オールド・スポート」。



ナンジャソリャ、てなる。
アガサ・クリスティポアロシリーズで、ポアロが「モナミ」っていうのとわけが違うだろっ。*6
まあオールド・スポート初登場シーンは“あなた”にルビふってオールド・スポートになっているのだがね。
それでも無理じゃっ。


そして『ロング・グッドバイ』も。*7
残念ながらのっけからちょと違和感あり。


まず「Rolls-Royce」を“ロールズロイス”と書かないでくれ。
音的には正しいのかもしれないけど、PCでも一発変換されないくらい、
おおかたの日本人にとってはロールスロイスという響きこそが、
実際のロールスロイスを連想させるのじゃないか。


あと“サンセット・ブールヴァード”も無理ですよ。
映画「サンセット大通り」も“大通り”って表記だから雰囲気出てくるのであって。
ブールヴァードはむしろブルーバードを思い出してしまうよ。

サンセット大通り スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

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ルー・リードの「Dirty Blvd.」でも、軽快なサビ部分で、
薄汚れた日産ブルーバードが通りを走っていく映像が目に浮かんだものだよ。
(明らかに私の勘違いです)



脱線。
こういう勘違いってほんとにたくさんあってですね。
デヴィッドボウイの「ロックンロールの自殺者」*8でも、
“Time takes a cigarette, puts it in your mouth”ってのをなんとなく、
「時がタバコのように俺を吸っていく〜♪こぼれ落ちる灰のようにすりへっていく俺の人生〜♪」
って歌なんだと勝手に思っていたりした。
完全なる勘違いだけど、結構カコヨサゲじゃない?

(火星人ルックだぜ☆)




話を戻そう。


原作が好きすぎるとこだわりがでてくるんだと思うんですよ。
しかしこだわりって、翻訳の場合、じゃまだったりもすると思うんですよ。


なんつうか、翻訳も多数決であり、美人コンテストである、というか。
異国の情緒慣習、作品の風情味わいetc.をこわさないように伝えるのはもちろんだけど、
でも同時にできるだけ大勢の人に、正しいイメージを喚起させる言葉を使ってほしいの。


そこをかっこよく“ブールヴァード”とか書かれた瞬間にわからなくなるわけ。
日産ブルーバードへの転換が脳内で勝手に起きてしまうわけ。
英語下手な日本の私は。*9


ハナ的には、村上春樹の小説のよさって、武骨なとこだと思っているのです。
例えば、地下鉄サリン事件の被害者にインタビューしまくって『アンダーグラウンド』書いてしまうような。
アンダーグラウンド (講談社文庫)

アンダーグラウンド (講談社文庫)

ハナは『ねじまき鳥クロニクル』がいちばん好きなのですが、その理由も、
地道な一般人である主人公が、身近なところからとある歪みに巻き込まれたものの、
歪みの原因である間違ったものに素手で闘いを挑む、という無謀かつ武骨な姿勢がすごいからなのです。
ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

先だってのエルサレム賞の受賞インタビューで“常に卵の側に立つ”と、
さすがの見事な比喩で述べられておられましたが、*10まさにそこなのですよ。
だからこそ村上春樹の小説は、読む価値があるのです*11


でも翻訳になると、村上さんはただ作品のファンになってしまって、
かっこよさをかっこよさとして、できるだけそのままに温存したいのでしょう。
しかしかっこよさの受信アンテナがない人にとっては、*12
それらの真空パック的な完全保存策は、意味不明な言葉の羅列にすぎない、
こともあるのです、ブールヴァードがブルーバードにすりかわるように。
乏しい自分の知識をあさって、妙なイメージを無理やり捻出してしまうのです。


翻訳って難しいですね。
翻訳に限らず、文字でイメージを伝えるのって本当に難しいです。
頭の中に映像が浮かんでいても、それをどうやって言葉で描写したらよいのか。
あるいは、読んでもらう人ひとりひとりの独自のイメージに頼るのか。
映像として見えているものを、文字で描写しても追いつかない。
どこまで読んでもらう人の想像力にまかせるのか、みたいな。


つまりたったひとこと「家」と書いてあるだけだと、
読者の数だけ、いや読者の数×その読者が想像する数パターンの「家」が存在するのです。


ある人にとっては自分の生まれ育った家のイメージだったり、
ある人にとっては毎日とおりすがる大きなお屋敷のイメージだったり、
またある人にとっては、自分が思い描いた架空の家のイメージだったり。


もうちょっと修飾されて「緑の切妻屋根の家」とあったとしても*13
切妻屋根ってなんじゃ、から始まって、
解説をよんだり挿絵をみたり*14辞書を引いてみたり、
いまの時代だとぐぐってみたり、あるいはなにもせずになんとなくイメージしてみたり、
まあおおむね切妻屋根らしきものがイメージできたとします。


しかし「緑」は?
ダークグリーンであったりモスグリーンであったりエメラルドグリーンであったりするわけです。


で、その家の建っている場所は?
日当たりがよかったり、木々に囲まれていたり、芝生が青青としていたり、
前に小道が延びていたり、家同士がひしめき合っていたり、
高台にあったり窪地にあったりするわけです。はあはあ。


同じ本を読んでも、イメージは千差万別なのです。
すなわち「同じ本を読んだ」なんていうことは、厳密にはありえないのです。
同じ本から受けるイメージが、同じはずはないのですから。


翻訳の場合、著者→訳者→読み手と、訳者のバイアスが加算されます。
著者のイメージが、訳者のイメージによって色づけされている文章になります。
この2重のバイアスをなんとか軽減するためには、原文でしか読まないか、
もしくは好きな小説家を選ぶかのごとく、好きな訳者も選ぶべきなのかもしれません(無理だけど)。
原文で読んでも、先述のデヴィッド・ボウイの例のような、美しき誤解が生じることもあるしね。


でも原文読んでみたらいけた、って経験ならありますぜ。ポール・オースター
柴田元幸訳で読んでいたときはこの作家どうも苦手、って思っていたのですが、
ためしに原文で読んでみたらかなり面白くてびっくりした。*15
これは単にあうあわない以外に、柴田先生は小説家ではない、というのもあるのかも。
偉い文学者相手に失礼ながら。


文章で人を楽しませたり感動させたりするのって、できるようでできない特殊技術なのではと思います。
演奏家とかに例えるとわかりやすいかもしれませんが、同じ曲を弾いてもプロの演奏は感動だけど、
ちょっとうまいアマチュアの人だと、まあ上手だね程度ってことありますよね。
または料理人とか。同じ材料を使っても、一流シェフとお料理上手な主婦では、*16やっぱシェフですよね。


プロが醸し出す絶妙に至るまでには、わずかだけれども決定的な違いがあります。
私的には特殊技術に近いと思うんだけど、その違いがいわゆる「才能」ってやつかもしれません。


うーん。ことばは奥が深いぜ。国境またぐともっと奥が深いぜ。
ちょっと翻訳をはじめてみたくなった今日この頃のハナであります。
フラ語でやれよって感じですよね。そうですよね。
やるなら超絶シンプルな『悪童日記』とかかな。大好きな小説です。*17
悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

あ、そういやアゴタ・クリストフ母国語がフランス語ではないってバイアスはあるな(笑)
もともとハンガリー生まれで、難民としてフランス語圏のスイスに亡命しています。
その辺の経緯は著作『文盲』にあります。
文盲 アゴタ・クリストフ自伝

文盲 アゴタ・クリストフ自伝

そう、私も海を渡ってエトランジェになるのだ。
「巴里のアメリカ人」*18ならぬ「巴里の日本人」になるのだ。
もしかしたらフランスに行きたいのってただ単に異邦人*19として過ごす感覚を味わいたいだけなのかもしれません。

*1:パリ行きのときに空港で買っていった『わたしを離さないで』は、心からこの本を選んでよかったとむせび泣き級に感動しました

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

*2:名作との呼び声高いこれとかね

ドラゴンクエストV 天空の花嫁

ドラゴンクエストV 天空の花嫁

*3:小山田先生のリミックスが聴きたかっただけ

ナツカシイ未来

ナツカシイ未来

*4:幻想即興曲を楽譜見て弾くのがめんどいんでところどころ耳コピするため

別れの曲~ショパン名曲集

別れの曲~ショパン名曲集

*5:まあ、タイトルのリリシズムでは野崎氏に軍配があがるわけだが。だって『ライ麦畑でつかまえて』ですよ?タイトルだけで手に取りたくなりますよ??そいや私が小学校くらいの頃に読みあさってた少女小説ティーンズハートシリーズにも、つかまえてシリーズってあった希ガス

苺畑でつかまえて (講談社X文庫―ティーンズハート)

苺畑でつかまえて (講談社X文庫―ティーンズハート)

ついでに大島弓子先生のこれもですな。ぜーんぶ野崎氏の影響なんだってばよ!たとえ間違っていても素敵な邦題っていいと思うんだけどな、ハリウッド関係者の皆さん?
ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)

*6:ハヤカワ文庫から出てたシリーズかな。ポアロ好き〜。数ある名探偵のなかでもいちばん好きかも。なんかキャラが立ってるから。灰色の脳細胞とかトランプの家とかいちいちつっこみどころが多いんだよな

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

*7:ていうかやっぱタイトルは『グレート・ギャツビー』も『華麗なるギャツビー』が、『ロング・グッドバイ』も『長いお別れ』のほうが断然ぐっとくるんだけどな。

*8:浪人のとき、センター試験の最中に聴いて聴いて聴きまくっていた

ジギー・スターダスト(紙ジャケット仕様)

ジギー・スターダスト(紙ジャケット仕様)

*9:川端康成大江健三郎とかけていることをわかってほしい

美しい日本の私 (講談社現代新書)

美しい日本の私 (講談社現代新書)

あいまいな日本の私 (岩波新書)

あいまいな日本の私 (岩波新書)

*10:文藝春秋に載ってます。クーリエジャポンにも載ってます。
あとここにもあった…けどこの“翻訳”はだれがやったんだ?笑
http://www.47news.jp/47topics/e/93925.php

*11:英語だと“worth reading”ですか

*12:海外の大学で学んだか教えたかした経験もありますしね。うろおぼえですいませんが

*13:ピンときたあなた、そうです。もちろん『赤毛のアン』の住んでいた家ですよ。

赤毛のアン―赤毛のアン・シリーズ〈1〉 (新潮文庫)

赤毛のアン―赤毛のアン・シリーズ〈1〉 (新潮文庫)

*14:ていうか挿絵も著者以外だとバイアスになりうるんだよな

*15:こんとき読んだのが『幽霊たち』です。スピード感が違った…

幽霊たち (新潮文庫)

幽霊たち (新潮文庫)

*16:意図せずしてシャレになりました。シェフと主婦。

*17:この先どんな小説からもこれほどの衝撃は受けないだろうとすら思う。ほんとにすげーんだから

*18:観たことないが音楽のおかげでタイトルは知っている。ガーシュウィンだよね?

巴里のアメリカ人 [Blu-ray]

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*19:そういや実は原作ちゃんと読んだことない…ヴィスコンティが撮った映画はものすごいよかった。有楽町でやってたヴィスコンティ特集で観ました

異邦人 (新潮文庫)

異邦人 (新潮文庫)

こっちは聴きました(笑)
DREAM PRICE 1000 久保田早紀 異邦人

DREAM PRICE 1000 久保田早紀 異邦人

The Circle Game

ニール・ヤング3連発に挑戦です。
そんなにニール・ヤングファンてわけではないのですがしかし。


本日のタイトルは、ジョニ・ミッチェルの曲です。
「The Circle Game」はジョニがニール・ヤングをモデルにして作った曲だとか。
映画「いちご白書」でバフィー・セントメリーというアーティストがカヴァーしてヒットしたそうです。*1

以下サビ部分の歌詞。メリーゴーランドのイメージが少女っぽくて素敵。

And the seasons they go 'round and 'round
And the painted ponies go up and down
We're captive on the carousel of time
We can't return we can only look behind
From where we came
And go round and round and round
In the circle game



ハナがもっとも敬愛する女性アーティストが、英語圏では*2ジョニ・ミッチェルJoni Mitchell)です。
数々の優れた男性アーティストと浮名を流し、その度に名作を世に流すつわものですが、
美人とかセクシーというんではなく、さばさばしてて自由な雰囲気。
多少研ナオコ似の骨張った風貌でいらっしゃいます。


もともとはフォーク系のシンガーソングライターとしてキャリアをスタートし、
ロックを抜け、ジャズを吸収し、いまは舞台音楽まで手がけておいでです。
ていうかそもそもミュージシャンじゃなくで画家志望だったみたいな。
なんかイマジネーションの塊のような方で、心にしみる歌をたくさん書かれています。


プライベートでありながら普遍的で、
とても女っぽいのに甘ったるくはなくて、
そしてどことなくいつも、旅の匂いがします。


ジョニの「ブルー(Blue)」というアルバムを聴くまでのハナは、
オアシス、U2みたいな強いロックが大好きで(いまもスキだが)、
グランジみたいな上着をはおった、ショートカットのとんがり小僧でした。
でもこのアルバムを聴いたとたん、ああ、これだよ、、、と開眼し、かっこつけから手を引きました。
ていうか、女であるってかっこよいんだなと素直に思ったのです。

ブルー

ブルー



以下に引用するのは、ジョニのファンなら皆、いちばんくらいに好きであろう曲「A Case Of You」です。
ちなみにこないだ出たトリビュートアルバムでは、プリンスが最高にかっこよくカヴァーしてました。*3

Just before our love got lost you said
I am as constant as a northern star
And I said, constantly in the darkness
Where's that at?
If you want me I'll be in the bar

(以下思いっきり意訳)
恋が終わるほんのすこし前
あなたが私にいったっけ
俺はいつも変わらないって
北極星みたいなもんだって
私はこう返したっけ
変わらずいつも真っ暗闇のなかにいるってこと?
どこにいるのかわかんないけど
あたしはバーにいるから会いたければ来れば

(↑稀代のハンサム男ジェームス・テイラーともつきあっていたらしい、、、ウラヤマシス)


私はいまでも“女性ならではの〜”なんてのはナンセンスだろとたまにぷんすかするのですが、*4
でもジョニの歌って、とっても女っぽいのに、いわゆる“女性ならではの〜”的なイメージはないのです。
それは女であるまえに人間だからなのかもとおそれおおくもボーヴォワールのようなことを書いてますが。
「優れた女性(または男性)は、両性を具備している」とジョニが語ったことがあると、
最近ゲットした「夏草の誘い」のライナーノーツに記述があり、なるほどと思ったものです。

夏草の誘い

夏草の誘い



またまた脱線。ニール・ヤングじゃないじゃん。はは。
ジョニもニールもカナダ出身だし、きっとうまが合う友人だったんだろうなと思います。*5


近所のローカル図書館にあったので、
ニール・ヤングがソロになってからの初期のアルバム、
「アフター・ザ・ゴールドラッシュ(After the Gold Rush)」も、
たしかジョニの「ブルー」に少し遅れて借りました。
あの元ピチカート・ファイブの小西康陽さんもおすすめしていた大名作です。


これはタイトルトラックの「アフター・ザ・ゴールドラッシュ」が最高です。
時代は全然ずれてるけど、入植当時の古き良きアメリカを連想してしまう。
ジーパンにダンガリー、泥の匂いと麦畑、馬、丸太小屋、、などなど。*6

(本来“1970s”と歌う部分が“21st century”に替え歌されてます)


あとはラストの「Cripped Creek Ferry」もたまに口ずさみたくなる曲です。
へいへーいくりっぷくりーふぇりー♪ってね。


ニールさんはギターだけでなく、曲書くのもすごいのですが、
実はこのほっこり声がなによりの魅力なのかもしれません。
この声で「孤独の旅路(Heart Of Gold)」とか歌われると、もうね。
(冒頭2分くらいなんか準備してますので2分過ぎから聴かれるといいかと)

「Rockin' in the Free World」とかいけいけな歌もあるんだけどね。



さてあっというまに夜が更けました。
激しい歯痛と肩こり(たぶん関連してるだろこれ)に悩まされながら書いてきましたが、
そろそろ閉じることにします。


ていうか私、あと10日でほんとにフランス行くんだよなー。。
こないだもだけど今回も直前に体調崩れるし。荷造りまだだし。
なんだかほんとに孤独の旅路になりそうです。月並みに不安です。
ではおやすみなさい。

*1:こちらのサイトに詳しい経緯が載せられておりました。
http://www.geocities.jp/s_ichinokura/sub4_doubt_birdsoffeather.htm

*2:ちなみにフランスではブリジット・フォンテーヌ(Brigitte Fontaine)ですが、この方は変態すぎなのでおすすめはしにくい。以前は気軽にいろいろな人にすすめていたのだが、、、とある美人の友人が、ハナにすすめられて「ラジオのように(Comme a la Radio)」という名盤を購入し聴いてみたものの、あまりに気持ち悪いので即日売ったという冗談のようなほんとの話があるのだ。

ラジオのように

ラジオのように

*3:ビョークの「ボーホー・ダンス(Boho Dance)」もよかったな。

*4:だから特に嫌いな言葉が“女性の社会進出”ね。よく学校のテストとかで“女性の社会進出”って書いときゃ正しい的な頭悪そうな問題があったもんだけど、なんだそれって感じでした。社会ってのは会社のことかよみたいな。文字ひっくり返せばいいのかよみたいな。

*5:ニールとはつきあってないらしいので。男女の友情は成立するのだ多分。大好きな映画「恋人たちの予感(When Harry Met Sally)」では結局成立してなかったけど、、、

*6:まるで映画「シェーン」の世界ですね。

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For What It’s Worth



昨日ニール・ヤングさんについて書いたブログ記事が、
ボタン操作のミスかなんかで消滅したので、
悔しくなって&性懲りもなくまた書きます。




ニール・ヤングさんはロックの偉人100人特集でもしたら、
38位くらいに入っていそうな偉い人です(38位に根拠はないが)。


さて何がすごいのかと申しますと、まあギターがうまいです。
小児まひかなんかの後遺症で、足が悪かったりするのですが、
そのせいで独特のギタープレイが生まれてしまったとか、
そんな逸話を聞いたことがあります(多分ラジオで)。


彼がソロになるまえに所属していたバンドに、
バッファロー・スプリングフィールドBuffalo Springfield)というバンドがあります。


ニールさん同様に天才ギタリストと呼ばれたスティーブン・スティルスさんという方がおりまして、
ふたりのギタープレイの掛け合いは、火花を散らすようであったとか。
結局このふたりの才能のぶつかり合いでバンドは解散してしまったと、一説にはあります。


本日のタイトルは、そのバッファロー・スプリングフィールドの代表曲です。
もうなんかね。すげえ曲です。
って解説を放棄してますが。


この曲は、30回くらいぶっとおしでリピートしても全然飽きません。
ていうか、30回くらいぶっとおしでリピートするのが正しい聴き方かもしれない。


歌詞はこんな感じではじまる。

There's somethin' happenin' here
What it is ain't exactly clear
There's a man with a gun, over there
Tellin' me I got to beware


(I think it's time we)
Stop, children, what's that sound?
Everybody look - what's goin' down?




ね、すげえでしょ?


ハナが最初にはまったのは実はこの曲ではなくて、
「折れた矢(Broken Arrow)」という曲です。
2枚目のアルバム「Again」の最後に収録されています。
これもやっぱりラジオで聴いた(ハナの情報源はほとんどラジオなのである)。

アゲイン

アゲイン

浪人時代のぼやんとした感覚とあいまって、胸につまされた記憶があります。

The lights turned on and the curtain fell down,
And when it was over it felt like a dream,
They stood at the stage door and begged for a scream,
The agents had paid for the black limousine
That waited outside in the rain.


Did you see them, did you see them?
Did you see them in the river?
They were there to wave to you.
Could you tell that the empty quivered,
Brown skinned Indian on the banks
That were crowded and narrow,
Held a broken arrow?

2番の歌詞冒頭に“eightteen years of American dream”
ってフレーズがありますが、これがまたなんともよい響き方なのであります。


この頃の歌って、多くがベトナム戦争への反戦メッセージだったのではないかと思う。
同じ時代に生きていない私には、音楽を通じて、かすかな共感(と呼ぶにはおこがましい何か)
のようなものを感じることしかできないけども。


愛とか平和とかがやっぱり大事だよねとだれもが思っていて、
だから戦争を続けている政府とか政策とか社会のシステムに対しては失望せざるを得なくて、
つまり正しいと信じていたものが正しくなくなっていったというか、
端的にいうと、価値観がゆらいでいったというか。


このバンドもそうなんだけど、批判を含む作品のなかで、
特にすぐれているものは、決して直截的ではないのですよね。
これは正しくないのではないか?という、問いかけに留めていると思う。
直截的な表現ができない状況だったという政治的背景なんかもあるかもしれませんが。


2000年頃に車のCM曲で話題になった、
クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(Creedence Clearwater Revival)の、
「雨を見たかい(Have You Ever Seen the Rain)」もそんな感じです。

Someone told me long ago there's a calm before the storm,
I know; it's been comin' for some time.
When it's over, so they say, it'll rain a sunny day,
I know; shinin' down like water.


I want to know, have you ever seen the rain?
I want to know, have you ever seen the rain
Comin' down on a sunny day?

ここでいう晴れた日の雨、は空から降り注ぐ銃弾≒ナパーム弾のことだとか。
銃弾が降った、と叫ぶのではなく、雨を見たかい?と歌うのです。


何らかの問題に対して、これは正しくないのではないか?と、
本気で声をあげて問いかけられた時代だったんだなあ、と思います。
(いまはなんか世の中のシステムが複雑すぎて、手に負えない。本気の声もどこかにのみこまれてしまう)




話がずいぶんそれてしまいました。ええと。
そんなふうにして解散したバッファロー・スプリングフィールドですが、
実は似たようなメンバーが集まってまたバンドを組んでます。
「クロスビー・スティルス・ナッシュ・アンド・ヤング(Crosby,Stills,Nash & Young)」
略して「CSN&Y」。
名前並べただけじゃーん、て感じのバンド名ですな。しかしこのバンドも非常によろしい。
バッファロー時代のとんがりというか、アクが抜けた感があります。
なんか最近再結成してたらしいです。ひえー。見たいなー。


このバンドの曲ではやっぱ映画「小さな恋のメロディ(Melody)」ですね。。
私はこの映画の宣伝部長かってくらいにこの映画を推薦しまくっていました。
なんかね、かわいくてたまんないんですよ。ザ・初恋!なんですよ。
「オリバー!(Oliver!)」(ああこの映画についても語り尽くしたい、、、)の天才子役ふたり、
主人公オリバー役マーク・レスターと、腕利きドジャー(Artful Dodger!)役ジャック・ワイルドが、
ちょっと成長して瑞々しい学園生活をおくる少年たちを演じてくれてます。


↓これはオリバー!のほうね。「Anything」は大名曲ですな。「Who Will Buy」もスキ。


「Melody」では放課後ふたりで遊びに行く噴水のシーンとかたまらんね。
あと、めでたく両思いになった幼いカップルに、ジャックが嫉妬しちゃうとこが激モエです。
男の子って男の子同士の友情のほうが大事だったりするもんな。

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代表曲はビージーズ(The Bee Gees)の「メロディ・フェア(Melody Fair)」でしょうが、

ラストシーンでトロッコを見送りながら流れるCSN&Yの「Teach Your Children」が、
もうもうもうもうさいっこーです!!!

(ああこっちは映像ないのかな)

You, who are on the road
Must have a code
That you can live by.
And so, become yourself
Because the past
Is just a goodbye.


Teach, your children well
Their father's hell
Did slowly go by
And feed them on your dreams
The one they pick's
The one you'll know by.
Don't you ever ask them why
If they told you, you would die
So just look at them and sigh
And know they love you.

いいですよねえええ。
自分はこういうソフトなカントリー調の曲が好みなんだってことに最近気づきました。


さて、こうやっていもづる式にいろいろ書いていくと、
ほんとはクロスビーさんから派生してザ・バーズのこととかも、、、
なんて思うのですが、語り尽くせないうちにただただ夜は更けてゆきます。


とりあえず、ニール・ヤングさんのバンド時代から、
思いを馳せてみたこのへんで今日はしめくくります。
おやすみなさい。

Good to See You

宣言どおり、再開します。


しかしさっき超一生懸命書いた日記が消えたので怒り心頭。
はてなダイアリー私の1時間を返せ。


パリ生活を綴ろうと思うのだ。
そのために再開なのだ。
これでいいのだ。


が。


日記タイトルが表示されないのだ。
困ったのだ。。


前はちゃんと「ハナビ、」って出てたよね??
むー。


さて。
さっきも書いたのにまた書くのはしんどいが。
私は日記のタイトルやらメールの件名やらを、
なんかの曲名にしたりすることが多い。
引用癖とでもいうべきか。




本日の引用は、米国ロックの御大、ニール・ヤングさんの最近のアルバムからの一曲です。
ご病気かなんかでやや長めのブランクのあと「また会えてうれしいよ〜♪」て感じでカムバックされました。
私もちょうどそんな感じ。晴れてニートまもなくパリ行き。


ニール・ヤングさんについていろいろ綴ったのですが、とりあえず保存しないとまた全部消えそうなので、
どっかのおじさんの超うまいカヴァー画像だけ出して、いったんしめます。



あとでさっき消えたやつをかきなぐってやる!